■ 5分間のトリップ
ベットに横たわり目を閉じ毎日繰り返す楽しい一時。
思い浮かべるのは豊かな水草がゆれる古き良き時代の湯川の流れ。
張り出したズミの枝下でブルックが静かにライズを始める。
静かにウェーディングし、煙草に火を付け静けさが戻るのを待つ。
遠くからオオジシギの急降下の羽音やカッコウの鳴声が聞こえる。
木道からは林間学校の小学生達の声も聞こえている。
川の濁りが消えロッドを振り始める、ゆっくりとラインが伸びる。
フォルスキャストを繰り返す度に今まで聞こえたいた音が薄らいでゆく。
もう私の耳には何も聞こえてこない。
不思議なことにこの空想の世界では私の全身が見えている。
空想の中の自分の釣りを第三者の目で見ているのだ。
何度となく繰り返し楽しむ情景なのに、未だこのブルックを釣ったことは一度も無い。
多分この先もこのブルックは私には釣ることが出来ないのだろう。
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