私は習慣、風習は伝統であり又、文化であると思っています。都会ではこんな事うんぬん(外国ではうんぬん)はある意味で、その文化を否定しているのかもしれません。

昔からその土地で生活を営み、何の疑問を感じていない方も多くいらっしゃいます。疑問を感じている方でも街から移ってきた
よその者に指摘された場合、賛同をせずに逆に反発を招く場合もあります。難しい問題です。

こんな小さな日本の中でも、あなたの思っている常識は非常識に捉えられてしまう地域があるかもしれません。

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 自治会
 この地域の自治会の運営法は今までに住んできたどの場所と違っていました。
住所の字(あざ)を一つの自治会とし、五つの自治会の頂点に区長という職があります。
区長の下に各自治会毎に2名の評議委員を任命し、この評議委員会10名が街でいう自治会の運営を行っています。ちなみに現在の規約費(自治会費)は年間7000円です。

評議委員の任期は2年間、その他に廻ってくる役は班長、納税班長、納税組合長、保険衛生委員、交通安全委員、我家には関係ありませんが農協連絡員その他。街の自治会には無い数多くの役があります。なんと我が家は5種類の役をやっていた年もありました。


 宗教
 私は特定の宗教の信者ではありませんが、現在の場所に転居直後に真剣に宗教とはと、考えさせられることがありました。
現在の住まいの近所に「時平神社」があります。いわゆる
鎮守さまみたいな神主の住んでいない、小さな神社です。この神社の鳥居の修復費の寄付を集めにこられた方の一言です。
ここに住む以上全員がこの神社の氏子になってもらいます。現に○○教も○○学会の方も氏子になっている。だからお宅も当然氏子であり寄付をしていただきたいと・・・

私は初詣、クリスマスと極平均的に宗教と関わっている典型的な日本人だと思っています。
もし私が特定の宗教の信者だったら、この寄付をしただろうか?

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 もう一つの交通安全協会
 いわゆる免許更新の際に警察署内に設けられているものとは違う、町の交通安全協会がわが町にはあります。目的はカーブミラーの設置や、もろもろの交通安全対策として設備の設 置を行う目的で設立されているようです。転居した年の会費は、世帯割り当て200円、車1台ごとに400円、3台目からは200円を年に一度集金にきます。
町役場に問合せた所、強制ではなく、あくまで自主団体で加入は本人の自由との回答を得ました。
新しく移り住んだ私たちにとっては疑問を感じてはいても「
目立ちたくない、揉め事を起こしたくない」が優先し、なにも言わずに加入してしまいました。


 国民健康保険
 現在の場所に転居してきて驚いたのが、国民健康保険料です。前年まで住んでいた埼玉の年収と同額の申告にもかかわらず年間10数万円のアップになった。
名称に惑わされやすいが国民健康保険料は地方自冶体(区市町村)が独自の算出を行っている、決して全国共通ではない。田舎では若い方は会社勤め(社会保険)、定年してから国民健康保険に移る。必然的に国民健康保険の加入者は高齢者が大半を占め、当然のごとく健康な若い方々の加入者の負担金が大きくなってしまう。住む場所で国民健康保険料がこんなに違ってしまうとは。

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 土地の境界
 我が家は市街化調整区域内の既存宅地を購入し、家を建てました。土留め工事は地元の方にお願いし、境界の立ち会いには隣接地主と我が家の元の持ち主、施工業者の三者で確認を行い工事を工した。一昨年我が家前の町道の拡張が決定し、町役場の測量が始まりそ の結果に驚きました。何と我が家は町道側にに30cm食い込み、隣接地から60cmも少ない状態だった。

 農村には都会では思い付かない青地という誰の持ち物でもない土地や、馬入れと呼ばれる 農道等の空白地があります。また田畑を耕すときに境界付近でもうひと鍬(くわ)が続き、思 いもがけない境界線になっていることがあります。このようなトラブルは土地を購入する際に多少の費用がかかっても、測量を入れておくことで防ぐことが出来ます。
住んでしまってからの境界問題はそれ以後の近所付き合いを考えると結構大きな問題になりますし、移り住む前でしたら事務的な処理もあまりその後の生活に影響を与えないようです。我が家の場は今更土留め工事を行うと工事費は数10万では済みそうになく、現状維持で諦めています。

田舎の土地境界は、都会以上にシビアで反対にルーズです。

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 驚いたお葬式の習慣
 我が家が所属する自治会は20世帯で形成され、その中5軒で一班を構成しています。同一班内で不幸があるとお葬式には一軒当たり二名がお手伝いにでることが習慣のようです。
通夜、密葬と2日間のお手伝いの後なんと現金が手渡されました。喪主、親族、親戚と二人で3万円を超える金額でした。その後同一班内の家庭は49日まで毎日曜毎にそのお宅に伺い家族と一緒に墓地にお参りを続ける慣習もあります。

 お葬式の内容は宗派や、土地風習により異なって当然でしょうが、現金のお礼と毎週日曜のお線香あげ、結構重荷です。転居してきて5年と6ヶ月、参加したお葬式5回。経験した役回りは、お坊さん迎え、お麩(ふ)の仕入れ(風習でお麩を調理する)、花番(造花作り)と、一番大変だったのが「床番}と呼ばれる役でした。「床番」とは土葬時代の墓堀の役、現在では火葬であり主な仕事はお墓の納骨場所の掃除結構重いは内容になってしまいましたが、現在の農村区域は典型的な高齢化社会であり田舎暮らしには逃げて通れない問題です。

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 プライバシー
 私の住んでいる地域には納税組合制度がある、税の延滞を防ぐ目的や役場の処理の簡略化で設けられているが、見返りとして納税額に対しての一定比率の還付金がある。納税者はこの還付金に2000円程度上乗せをし年に一度宴会を行う、当然酒宴と大嫌いなカラオケ。

納税組合は各自治会に組合長1名(1年ごとに移る)と各班ごとに納税班長が1名、納税交付書はむき出しのまま全世帯分が役場から組合長に、そこで仕分けされ各納税班長が交付書をもとに集金を行う。
自動引き落としを行っていない家庭の自動車税、市県民税、国民健康保険、国民年金、固定資産税と全部の交付書は
封書でなくむき出しの状態のまま1期、2期と集金が続く。
納税組合は全世帯が参加をしており10年前までは還付金を積み立て親睦旅行を行ったりしていたそうだ。現在でも2000円の会費で宴会とカラオケ、高齢者の方には結構な楽しみのようであり我が家だけの脱会はトラブルを起こしそう。

※納税組合制度は、2004年3月をもって廃止されました。

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 エピソード
その1
私の転居してきた地域は私がなんと戦後初めての部外者らしい。今まで分家等での世帯の増加はあったらしいが、全くの部外者が入ってきたことに驚いたそうだ。こちらが心配するように土地の人たちも好き好んでこんな場所には言ってくる人に興味と、不安があるはず。
転居まもなく犬の散歩に出かけ、糞の始末用に園芸用の小さなスコップを持ち歩いていたところ野菜泥棒と勘違いをしたのか畑の脇を通る私を隠れてみている方がいた。数日そのような状態の後、その方の隠れて見ている前で犬の糞を穴を掘り始末をした。その後隠れて見られることも無くなった。

その2
かみさんが掃除機をかけていたときの事である、私は仕事に出かけ家にはかみさん一人。何気なく振り返ったら、家の中にお隣のおばあちゃんが立っていた。田舎は下町と同様に親しくなると平気で家に上がってくるものらしい。幸いかみさんは東京江東区の下町出身、驚いたもののそれ以上には発展しなかった。

その3

近所のオバアチャンが毎日のように我が家に遊びにくるようになった。こちらとしてはご近所づきあいが深まり大変に結構な事だが、手ぶらでは遊びにこない。野菜の豊富な時期は旬の野菜を持ってくる、ありがたく頂戴していた。そのうちお米を持ってきた事がある「若い者には内緒だよ」とのオバアチャンの言葉、困ってしまった。家族の中での孤立からと、平日一人での寂しさから我家に毎日来るようになり、気を引くための野菜と米、わびしい、悲しい、辛い。
かみさんはオバアチャンに「手ぶらでこないともう家に入れないよ」と念を押し、しばらくは遊びに来られていたが、翌年から急に足腰が弱くなり2年目の秋にお亡くなりになった。


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