遠野で過ごした三日間 Vol.4


ライツロイヤルを結ぶ
 
小烏瀬川
Photo by K
 

 9月14日、今日山梨に向かう菊地さんと分かれ、私の車でK君と遠野に向け出発する。昨日遠野からの帰りの道すがら菊地さんがルートの説明をしてくれたのだが全く覚えていない。結局ショートカットのルートを諦めて国道で行くことにした。
遠野に入り国道を左折しても私は分岐点も分からないありさま。
今日最初に入る場所は、昨日最初に入った川の下流部に決めてある。
K君のナビでやっと到着する。
昨日の私はいったいどうしてしまっていたんだろう。
 
 今日最初のポイントに選んだこの場所も入渓点は木立のトンネルだが、少し釣りあがれば上部は開けてくる。
今日は7'00"-#3のロッドを使う。川辺で新しいリーダに交換し、フライを結ぶ間に早速K君のフライに良型のヤマメが反応したらしい。
「一旦下がってから釣りあがってきます。」、川を下っていくK君の身軽さに嫉妬を覚えながら、ライツロイヤルを結んだ。

 深呼吸し、浮石、沈み石の周りを丹念に探りながら釣りあがり始める。
フリーストーンの歩き方も少しだけ勘が戻ってきた。軽快さとはまだ程遠いが釣りあがりを楽しむ。
すこし登った場所で、小さなイワナが私のフライに反応したがドラッグがかかっていたようでフッキングできなかった。昨日と比べ多少でも魚の反応があるのが嬉しい。
100Mほど登った場所だろうか、やっと最初のイワナが私のライツロイヤルを咥えてくれた。20cmほどのイワナだったが私の遠野の最初のイワナだ。サイズに関係なく嬉しい1匹目だ。
「ロッドが曲がっていましたね」、追いついたK君が声をかけてくれる。
「小さいけどね」、嬉しさを悟られぬよう、さり気ない素振りの演技をしてしまう私。
でも多分バレバレだったんだろうな。
 K君が先行に変わり、新しいライツロイヤルに交換した。
フライは濡れただけで全く問題ないが、不細工な私のフライを念願の遠野のイワナが咥えてくれた。このフライは記念のフライにすることにした。

 フライを交換しやっとタバコを楽しむ余裕が出てきた。
見上げたら遠野の空は昨日までと違い、高く澄んだ青空と白い雲が秋が近づいていることを知らせていた。
上流にこのポイントの終わりを知らせる橋が見え始めてきた。

Previous - Back - Next